施設警備の費用相場の考え方|条件をそろえた見積比較のポイント
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
施設警備(警備業法第2条第1項第1号の警備業務のうち、警備業務用機械装置を使用しないもの。以下「施設警備」)の費用は一律ではなく、人数・時間帯・業務内容・資格要件などの条件をそろえて比較します。民間の取引相場を示す複数の同質な実査値は確認できないため、この記事では民間の価格帯を示しません。
代わりに、国の積算に用いる参考単価、全国警備業協会が示す参考の費目体系、1件の公共調達実額を、それぞれの位置付けを分けて読みます。警備業務を実施するのは認定を受けた警備業者であり、当サイトは比較・情報提供を行います(出典:警備業法(昭和47年法律第117号)第2条第3項・第4条、確認日2026-09-05)。
施設警備の費用をどう考えるか
施設警備の費用を考える際は、総額の前に、どの業務条件と費目を含む見積かを確認します。同じ施設警備でも、人数、時間帯、担当業務、資格要件、休憩交代、報告の条件が違えば、同じ金額として比較できません。

費用が一つの金額に決まらない理由
費用が一つの金額に決まらない理由は、警備業務の内容と条件が案件ごとに異なるためです。見積を受け取ったら、まず対象施設、日時、人数、担当業務を同じ単位で記録します。その上で、資格要件、休憩交代、報告、鍵の管理など、条件として追加した項目を分けて確認します。
条件が異なる見積を総額だけで並べると、どこに差があるのかを説明できません。比較表では、金額欄の横に条件欄を置き、条件がそろっていない見積を同じ比較の結論に使わないようにします。これは金額の高低を判断する手順ではなく、見積の前提を確認する手順です。
費目の早見表
一般社団法人全国警備業協会は、施設警備に対応する参考の積算体系として、直接人件費、直接物品費、業務管理費、一般管理費等を示しています。これは発注者との適正取引のための参考情報であり、個別の民間見積に同じ構成や比率が必ず当てはまるという意味ではありません(出典:一般社団法人全国警備業協会「警備料金の基礎知識」、確認日2026-09-05)。
| 費目 | 参考の積算体系での扱い | 確認するときの視点 |
|---|---|---|
| 直接人件費 | 労務単価を100%とする(出典:一般社団法人全国警備業協会「警備料金の基礎知識」、確認日2026-09-05) | 人数・時間帯・担当業務との対応を見る |
| 直接物品費 | 労務単価の1〜3%(出典:一般社団法人全国警備業協会「警備料金の基礎知識」、確認日2026-09-05) | 直接人件費と区別して示されているかを見る |
| 業務管理費 | 直接業務費の18〜22%(出典:一般社団法人全国警備業協会「警備料金の基礎知識」、確認日2026-09-05) | 直接業務費を基に積み上げる体系として読む |
| 一般管理費等 | 9〜14%(出典:一般社団法人全国警備業協会「警備料金の基礎知識」、確認日2026-09-05) | 業務原価に加算して業務価格へ至る順序を確認する |
数値はいずれも、同協会が整理する施設警備に対応した参考の積算体系によるものです(出典:一般社団法人全国警備業協会「警備料金の基礎知識」、確認日2026-09-05)。比率だけを取り出して、個別契約の価格や民間の相場と同じものとして扱わないことが重要です。
公表された実額と国の参考単価の読み方
公表された実額と国の参考単価は、どちらも民間の取引相場を示すものではありません。資料ごとに対象、時点、使われ方が違うため、同じ表に並べて一つの目安にするのではなく、それぞれの出所を明示して読みます。

公共調達の実額を民間の相場と同じに扱えない理由
福島県が公表した「いわき合同庁舎 清掃・警備契約」では、2025年度の警備契約の年額は27,852,000円です。この数値は、1件の公共調達の実額であり、民間の施設警備の相場や目安として一般化できません(出典:福島県「いわき合同庁舎 清掃・警備契約」、確認日2026-09-03)。
一件の公表額には、対象となる施設や契約条件が含まれます。発注者が自社の見積と比べるときは、年額だけを取り出さず、公開資料の数値と自社が求める業務条件を別の情報として扱います。金額を引用する場合も、年度、1件の公共調達実額であること、出典を近接して示します。
公共調達の実額は、見積比較の基準値ではなく、資料の読み方を確認するための個別の公表事例です。施設の条件が異なる見積と並べて平均や単価を算出すると、資料にない意味を加えてしまいます。発注者は、金額の出所を残しながら、自社の条件を別に整理して比較します。
建築保全業務労務単価と積算枠組みを読む
国土交通省の建築保全業務労務単価は、各省各庁が国の建築物等の保全業務を委託する際の参考単価です。令和8年度は全国10地区・3職種別に設定され、警備員の全国平均は17,040円です。この単価は1日(8時間)当たりの日割基礎単価であり、時間外・休日・深夜の割増賃金や、業務管理費〔法定福利費(事業主負担分)・研修訓練等に要する費用等〕及び一般管理費等の諸経費は含まれていません(出典:国土交通省「令和8年4月から適用する建築保全業務労務単価について」の留意事項2・3、確認日2026-09-11)。
同資料の留意事項1では、この単価が保全業務に係る費用のうち直接人件費を積算するための参考単価と示されています。前掲の費目の早見表に当てはめると、単価は直接人件費の層に当たり、直接物品費、業務管理費、一般管理費等を加えた業務価格とは別の層の数値です。官庁施設の積算に用いる参考単価であり、民間の個別取引価格でもありません。
同資料の数値は、見積を一律に評価する基準ではなく、国の積算で使う参考値として読みます。民間の見積比較では、対象施設、人数、時間帯、担当業務を先にそろえ、必要に応じて費目の説明を確認する順序が適しています。参考単価を民間の価格に置き換えないことが、資料の用途を取り違えないための出発点です。
見積を比較する前にそろえる条件
見積比較では、総額の前に業務条件をそろえます。施設警備の契約前書面で確認できる事項と、発注者が任意に加える条件を分けると、比較表の目的が明確になります。

人数・時間帯・担当業務をそろえる
人数、時間帯、担当業務は、見積の前提を説明する中心の条件です。対象施設ごとに、どの時間帯に、何人が、どの業務を担当するのかを分けて記録します。比較の基準となる項目は、警備の相見積もりを同じ条件で取る手順で詳しく整理しています。
施設警備では、契約前書面に日時、対象施設、警備員の人数と担当業務などが記載事項とされています。他の業務区分では書面の記載事項が異なるため、同じ項目がそのまま比較の前提になるとは限りません(出典:警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)第33条、確認日2026-09-05)。
資格要件・休憩交代・報告を分けて確認する
資格要件、休憩交代、報告は、人数や時間帯とは別欄で確認します。資格要件は、必要な知識や技能の条件をどのように置くかという発注条件です。休憩交代や代替時の連絡も、比較対象の見積に含めるなら、全ての見積で同じ前提になっているかを確認します。
発注仕様の整理は、施設警備委託の仕様を決める方法が参考になります。また、契約前書面で確認できる項目は施設警備の契約前書面で確認する項目、比較の視点は警備会社の選び方で確認できます。費用欄だけを独立させず、条件欄と一緒に読むことが大切です。

まとめ
施設警備の費用は、総額だけでなく、人数、時間帯、担当業務、資格要件、報告などの条件と一緒に読みます。公表された公共調達実額と国の参考単価は、それぞれの出所と用途を明示し、民間の相場と同じものとして扱いません。比較表には、条件欄と費目欄に加えて、参照した公表資料の年度と出所も残します。
費用を比較する前に条件をそろえることが、見積の前提を確認する第一歩です。掲載情報の基準は情報の収録基準と運営方針で確認できます。掲載内容の訂正やご意見はお問い合わせからお寄せください。
よくある質問
- Q. 建築保全業務労務単価は民間の施設警備相場か
- 建築保全業務労務単価は、各省各庁が国の建築物等の保全業務を委託する際の参考単価です。民間の施設警備の取引相場そのものではありません。見積を読む際は、国の積算に用いる参考単価と、個別契約の業務条件を別に確認します(出典:国土交通省「令和8年4月から適用する建築保全業務労務単価について」、確認日2026-09-11)。
- Q. 警備員の全国平均はいくらか
- 令和8年度の国の積算に用いる参考単価における警備員の全国平均は17,040円です。この単価は1日(8時間)当たりの日割基礎単価で、割増賃金や、業務管理費・一般管理費等の諸経費は含まれていません。全国10地区・3職種別に設定された参考単価のうちの警備員の全国平均であり、民間の個別取引価格ではないため、数値の用途と対象を分けて確認してください(出典:国土交通省「令和8年4月から適用する建築保全業務労務単価について」の留意事項2・3、確認日2026-09-11)。
- Q. 見積比較で最初にそろえる条件は何か
- 見積比較では、人数、時間帯、担当業務を最初にそろえます。その後、資格要件、休憩交代、報告などの条件を別欄で確認します。契約前書面で法定される記載事項は業務区分によって異なるため、施設警備以外の業務に同じ比較表をそのまま当てはめるのではなく、該当する書面を確認します(出典:警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)第33条、確認日2026-09-05)。
出典
- 1.国土交通省『令和8年4月から適用する建築保全業務労務単価について』(mlit.go.jp)
- 2.一般社団法人全国警備業協会『警備料金の基礎知識』(ajssa.or.jp)
- 3.福島県『いわき合同庁舎 清掃・警備契約』(pref.fukushima.lg.jp)
- 4.警備業法(昭和47年法律第117号)(laws.e-gov.go.jp)
- 5.警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)(laws.e-gov.go.jp)