法令・制度解説

警備員教育の義務と時間数|発注者が確認したい教育体制

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

警備員教育は法定されており、新任は原則20時間、現任は毎年度10時間以上を基準に教育体制を確認します。時間数には経験や資格に応じた区分があるため、すべての警備員が一律に同じ時間数となるわけではありません。発注者は、時間数だけでなく、誰がどの区分の教育を担う体制かも分けて確認します。

警備業務を実施するのは認定を受けた警備業者であり、当サイトは比較・情報提供を行います。この記事では、警備会社が行う教育の運営方法を指示するのではなく、発注前に教育体制を確認するための法令上の枠組みを説明します。

警備員教育の義務とは

警備員教育の義務とは、警備業者が警備員に教育を行い、必要な指導と監督をすることです。警備業法(昭和47年法律第117号)第21条・第22条 の最終改正施行日は2025-06-01、警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)第38条・第39条 の最終改正施行日は2024-06-27です(確認日2026-09-05)。教育は基本教育と業務別教育で構成され、必要に応じて向上教育が行われます。

新任教育と現任教育の時間を防災センターで確認する制服の警備員と指導担当者
新任教育と現任教育の時間を防災センターで確認する制服の警備員と指導担当者

新任・現任教育の早見表

新たに警備業務に従事させようとする警備員への新任教育は、原則20時間です。現に従事させている警備員への現任教育は、毎年度10時間以上と定められています。発注者が質問するときは、採用時の教育と継続して行う教育を同じものとして扱わず、どちらの体制を確認するのかを分けます。

教育の区分時間数の基本確認する視点
新任教育原則20時間新たに従事する前の教育
現任教育毎年度10時間以上継続して従事する警備員の教育
向上教育必要に応じて実施基本教育・業務別教育との位置づけ

この時間数は 警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)第38条第4項・第5項 によります(確認日2026-09-05)。見積金額や配置人数だけでは教育体制を読み取れないため、教育の区分と対象者を別に確認することが必要です。

教育時間を質問するときは、特定の警備員について時間数を判定するのではなく、新任教育と現任教育の仕組みが説明されているかを確認します。発注者側の確認事項として整理すれば、警備業者の教育運営を直接指揮する内容にはなりません。

教育時間にある軽減区分

新任教育には、経験や資格に応じた区分があります。直近3年間に同じ区分の警備業務へ通算1年以上従事した者をその区分の業務に従事させる場合は、基本教育及び業務別教育で7時間以上です。同じ経験がある者を別の区分の業務に従事させる場合と、警察官の職に通算1年以上あった者の場合は、基本教育及び業務別教育で13時間以上です。合格証明書を持つ者を、その証明書の種別以外の警備業務に従事させる場合は業務別教育10時間以上で、そのうち直近3年間に当該警備業務へ通算1年以上従事した者は業務別教育3時間以上です。

現任教育にも、一定の合格証明書を持つ者などについて業務別教育が6時間となる区分があります。したがって、「新任は必ず20時間」「現任は全員が同じ内容」という読み方は適切ではありません。区分の存在と時間数は 警備業法施行規則第38条第4項・第5項 に基づきます(確認日2026-09-05)。

軽減区分は、教育が不要になることを示すものではありません。発注者は、原則の時間数と区分の存在を理解したうえで、教育体制の説明を受けることができます。どの区分に当たるかという個別の判断は、警備業者や所管の窓口に確認する領域です。

経験と資格による教育時間の区分を研修室で説明する指導担当者と無線機を持つ警備員
経験と資格による教育時間の区分を研修室で説明する指導担当者と無線機を持つ警備員

指導教育責任者の仕組み

指導教育責任者の仕組みとは、警備業者が営業所ごと、かつその営業所で取り扱う警備業務の区分ごとに、警備員指導教育責任者を選任する制度です。教育を受ける警備員の時間数と、教育体制を担う責任者の選任は、別の根拠に基づく確認項目です。発注者は、必要な教育が誰の責任の下で行われる体制かを確認します。

営業所と警備業務の区分ごとの指導教育責任者を防災センターで確認する様子
営業所と警備業務の区分ごとの指導教育責任者を防災センターで確認する様子

営業所・業務区分ごとの選任

警備業者は、営業所ごと、さらに当該営業所で取り扱う警備業務の区分ごとに警備員指導教育責任者を選任しなければなりません。責任者は原則として専任ですが、複数の区分すべての資格者証を持つ者を置く場合には、区分ごとの専任を要しない定めがあります。これらは 警備業法第22条第1項 と 警備業法施行規則第39条 によります(確認日2026-09-05)。

発注者が確認する際は、責任者の個人評価を行うのではなく、営業所と業務区分に応じた教育体制が説明されているかを見る方法が適しています。認定制度の確認と教育体制を分けて整理したいときは、警備業の認定を確認する方法 も併せて確認できます。

営業所ごと、業務区分ごとという整理は、発注者が予定する業務を説明する際の質問の軸にもなります。資格者証の取得手続や講習日程はこの記事で扱わず、法令上の選任の仕組みと発注前の確認を分けます。

教育体制を発注者が確認する視点

発注者は、教育時間の数字だけではなく、基本教育と業務別教育の位置づけ、対象となる業務区分、指導教育責任者の選任を確認します。質問事項を作る場合は、警備会社の社内帳票の作成方法を求めるのではなく、教育体制が説明される範囲にとどめます。これにより、発注側の確認と警備業者側の運営実務を混同しません。

複数の候補を比べる場合は、質問を同じ順番にそろえます。警備会社の選び方 で選定の比較軸を確認し、検定の法定配置との違いは 施設警備の検定は必要か で確認すると、資格と教育を別の論点として扱えます。

回答の有無だけで教育の質を評価するのではなく、教育区分、時間数、選任の仕組みという確認項目をそろえることが重要です。質問の目的を明確にしておけば、見積条件や配置条件と教育体制を一つの評価語で混ぜずに済みます。

教育体制を発注者が確認する範囲

教育体制を確認する範囲は、法令が定める教育時間と選任の枠組みを読み、発注者が求める業務条件と照らし合わせるところまでです。警備業者に教育を実施させる主語は警備業者であり、発注者や当サイトが教育内容を指揮するものではありません。警備業法の最終改正施行日2025-06-01、施行規則の最終改正施行日2024-06-27を前提に、確認日2026-09-05の情報として整理しています。

教育時間と教育体制を二つの確認表に分けて見る施設管理者と受付警備員
教育時間と教育体制を二つの確認表に分けて見る施設管理者と受付警備員

教育時間と教育体制を分けて確認する

教育時間を確認する際は、新任か現任か、軽減区分があるかを確認します。教育体制を確認する際は、営業所と業務区分に応じた指導教育責任者の選任、教育計画に基づく教育という枠組みを確認します。この二つを分けることで、時間数だけで体制全体を判断することを避けられます。

発注仕様に教育に関する確認事項を置く場合も、法定の時間数と独自に確認したい条件を一緒に書かないことが大切です。業務内容、人数、報告などの発注条件を整理する考え方は、施設警備委託の仕様を決める方法 で確認できます。個別の体制判断が必要なときは、所管の窓口や専門家へ確認する余地を残します。

まとめ

警備員教育では、新任と現任の時間数、軽減区分、指導教育責任者の選任を分けて確認します。発注者は教育体制の説明を確認し、実施方法を指揮する立場と混同しないことが大切です。掲載内容の訂正や意見は、お問い合わせ からお寄せください。

よくある質問

Q. 新任教育は何時間か
新任教育は原則20時間です。ただし、経験や資格に応じて教育時間が異なる区分があります。新任かどうかだけで一律に判断せず、該当する区分を確認します(出典:警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)第38条第4項、確認日2026-09-05)。 発注者は、原則の時間数と軽減区分があることを確認し、個々の警備員がどの区分に当たるかを記事の一般論だけで決めません。教育の運営や個別の該当判断は、警備業者と所管の窓口が確認する範囲です。 時間数は教育体制を確認する入口であり、発注者が個別の教育内容を指揮する根拠にはなりません。
Q. 現任教育は何時間か
現任教育は毎年度10時間以上です。一定の合格証明書保有者などには、業務別教育の時間が異なる区分があります。教育が継続して行われる体制と、対象者の区分を分けて確認します(出典:警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)第38条第5項、確認日2026-09-05)。 現任教育は、新任教育を一度受けた後に確認しなくてよいという制度ではありません。毎年度という単位を確認し、教育の区分と担当する体制を別々に説明してもらうと、発注前の確認が整理しやすくなります。
Q. 指導教育責任者はどのように選任されるか
警備員指導教育責任者は、営業所ごと、取り扱う警備業務の区分ごとに選任されます。教育の時間数とは別に、誰が体制を担うかを確認する根拠になります。出典は 警備業法(昭和47年法律第117号)第22条第1項 です(確認日2026-09-05)。 発注者は、責任者の氏名や資格を採点するのではなく、営業所と業務区分に応じた選任の仕組みが説明されるかを確認します。これにより、教育時間の確認と教育体制の確認を別々の質問として扱えます。

出典

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